劇団

役から離れる、はなれないってなに?なかに入っている役者の必要性

役からはなれない

「役者は役から離れてはいけない」という言葉は芝居をやっている俳優や役者ならよく聞いたことがあるはず。

この言葉は、役者にとってはかなり大事なポイントであるんだけど、ほかに日常でも重要だなって感じることがあります。

この記事では、役者が一瞬だろうと役から離れるとどんなリスクがあるのか?役者が役の中に入って役のなかで生きるときにどんなことが起きるのか?また、役の中に入っていて、役から離れないためにはどうしたらいいのか?について解説します。

「役になり切る」必要性やなり切れないとどんなリスクが起こるのか?についても伝えます。

役者は役から離れてはいけないってどういうこと?

役から離れるな、という意味は何か?というと要するに役になり切るということだけどこれが一口になかなかできないものなんです。

意識して役になり切ることはできても、無意識層の部分でつい、その役ならこうするなあ、とかもっとこうしたらウケるんじゃないか、って欲が出ると、知らない間にオーバーアクションをしてしまうのです。

なにもしないでください

横浜聡子監督の参考になる言葉があります。

1人の人間として、その場に立っているだけでいいなと思ったんです。人間は、カメラを向けられると、どうしても普段とは違う自分になるので。当たり前なんですけど。「役」というのは、カメラが向いていないときの自分を表現してもらうことが大事

出典:FILMERS

とにかく緊張感を持ってやる

ベテラン俳優である宮川一朗太さんもお芝居のなかでは、常に緊張感をもったまま演技をするそうです。

その理由に、初めて「家族ゲーム」という映画を撮ってからあとでフィルムを確認したときの印象にありました。

「自分が下手すぎて、落ち込んでいたんです」そうすると、共演者の松田優作さんが「それでいいんだ。天狗になるより、いいじゃないか」と励まされたそうです。

芝居中はどの役者も決してリラックスができない。

緊張をする役者こそうまくなるという言葉があるので、まさに、役者は思いあがったら終わりということですね。

役者が一瞬でも役から離れるとどんなリスクがあるのか

役者がその役になりきっているつもりでも、何度かの舞台上で毎回観客席から笑い声が聞こえると、つい、ここは笑いがとれるぞ、と無意識のうちに記憶され、欲が出てしまい、もっと笑わせようとすることがあり、そんなとき、役者のなかから飛び出して、意識は観客席に向かってしまうのです。

観客はすぐに見破る

不思議なことに、役者が役から離れると必ず、それは見破られます。

この役者は大根役者だ、と一瞬でも見られれば、そこから劇が終わる最後までその印象は続いてしまう。だからこそ、役者は決して、自分の役から離れてはいけない。

芝居の最後の瞬間まで、役であることをだまし続けることが大事なのです。

孤独な作業かもしれないけど、役であり続け、そのなかで表現し続けないといけない、気を許さない・緊張感は最後まで続きます。

笑わせようとしても絶対に笑わない

なにを見てもすぐに笑う人もいるけど、なかなか笑おうとしない人もけっこう多いんです。だけどやってはいけないことが、「笑わせよう」とか「面白くしよう」とか意識して演技すること。

役者は「ここ、笑うとこ」的なわかりやすい演技をすると、見ている人は引く。絶対に笑うものか、と観客から冷めた目線を浴びる。

有名なお笑い芸人で認知されている人と同じようにやってはいけない。私たちは無名の役者なんだから、観客は、「こいつは何をしてくれるんだ?面白くなかったら絶対に笑ってやるもんか」って構えているものです。

人が自然に笑ってしまうときって、その人のひたむきさとかバカなことを本気でやっていることを目にしたときが多いもの。そんな光景を目にしたとき、つい素直に笑みが出てしまう。

役者は役に入ってひたむきに演じることだけに集中するものです。

役者が役の中に入って役のなかで生きるとき

私は偏屈のせいか、なかなか感動をしないのですが今までみた舞台演劇でいくつか心が動いたものがあります。それについてちょっと触れつつ、役のなかで生きることを解説します。

なんで涙がでるのか

それはたったの60分のコメディ劇でした。

その中のメインキャストの一人が相手役の名前を叫んだ時にハートが矢に刺さったのです。

単なる気持ち悪いおじさん役(女性が演技していた)なのに、そこでは切ない恋心を抱いたような叫びを思い切り高い声をあげて言っていたのです。

なぜでしょうか。

私にはとにかくその一言がとても心に焼き付き、魂が震えたような感覚になったのです。後日、その彼女と実際に対面したのですが、彼女からはその役柄に似た印象は微塵もありませんでした。

しかし、今でもあの声とそのとき受けた心の衝撃は忘れられません。実は、そのセリフのあと、何度かその役が放ったセリフにより涙も流してしまいました。

いかにその役者がリアリティにこだわって役になりきっていたか、今ならあのときの役についてはっきりと感動した理由が言えます。

トマトは青いと言われたら青くなるしかない

これは、私が演劇をはじめて後から知ったことだけど、役者はいわば演出家の人形のようなものでもあり、演出家が青色のトマトをやりなさい、といえば、役者はその役柄にならないといけない。

青いトマトはどういう生き方をするのか?どんな場面でどんなしぐさをするのか?を探り、それを表現するのが役者の仕事。

そして、最終的には観客に、これは青いトマトのそのものなんだと信じ込ませることができれば、大成功。

観客は本当のトマトは赤いのに、青いトマトがそこにあることを信じさせてくれたことに感動を覚え、拍手喝さいを送るのだ。

役から離れないために意識すべきこと

日本の演劇界はまだまだ欧米などに比べて遅れているようです。

それでも、最近では、日本とアメリカでの演劇活動について比較して解説している人もいます。

いろんな劇団がありますが、やっぱり私はリアリティのあるお芝居に感動を覚えるので、そのような劇がもっと伸びて発信してほしいし、まだ知らない人はぜひ触れてほしいと思います。

そこで、役から離れない演技をするために、常に意識しておきたいことを紹介します。

信頼してもらう

「この人に任せれば、ある程度いい役をこなしてくれる」といって、次の舞台やお芝居のときにその人の名前を思い出してもらえるというのが大事。

だからこそ、与えられた仕事はとにかく誠心誠意を尽くしてやるという姿勢が大事。わき役だろうが殺され役だろうが、どんな仕事でも完璧にこなす、という姿勢が大事。

そういう積み重ねをしていくと必ず信頼関係が生まれるのです。

過信をしない・思いあがらない

不思議なことに、仕事がコンスタントにもらえて収入もある程度の目標に達していくと、ほとんどの人間は思いあがります。

しかし、芝居に関しては、「これでいいんだ」と思ったらもうそこから下降してしまう。役から外れ始めるんです。

常に、「自分にはまだ足りない」と思うこと、そして、それを知ることが大事。もちろん自信がないのもダメだけど、過信をしてはいけない。

常に役のなかにい続けて、この役柄なら、このシチュエーションならどんなしぐさをするのか?毎回の舞台ごとに違う相手役との絡み方でも違うし、天気や観客の雰囲気でも多少の変化があるのは自然なことで、それに敏感に反応するのがその場に生きている役者の役割なのではないかと思う。

自分なりの真実にこだわる

俳優や俳優育成に携わったシカ・マッケンジーさんがこんなこことを言っています。

日本は、伝統芸能の影響を引きずっているせいか、例えば、客席全部を感動させる意気込みでやりなさい、という先生がいます。でも全員が感動するというのはあり得ない。

もしかしてこれは誰にも分かってもらえないかもしれないけれども、私にとってはどうしても真実なので、言うしかない

そういう「自分なりの真実」にコネクトできるか。それこそが人の心にタッチして、ああ真実だっていう感動を与える。

出典:amu

まとめ

ついつい役者は観客あっての役者であり、お客さんを喜ばすのが仕事だから、意識は観客のほうに向かってしまう。

しかし、意識が観客に向かった瞬間、役柄のなかにい続けるのが難しくなってしまい、自分を見失い、いったい、自分はどんな役柄だったのか、すら忘れてしまう。

そうならないためにも、常に役者は緊張が続きながらも役柄でい続ける集中力と精神力と自分なりの真実にこだわり、その中で生き続けなければならない。そのためには、そこまでやるのか?
?とった表現を稽古でしっかりやっておくのも必要だ。

稽古ではとことん恥をかく、といのはそういうことなんだと思う。

>>舞台役者になるには?

>>55歳からのアンチエイジング|老いない生き方